「Geminiが使えない」は半分だけ正しい — 無償版で使えるのはアプリ、使えないのはサイドパネル
「非営利の無料版ではGeminiが使えない」という声がありますが、それは半分だけ正しい説明です。使えるのは「Gemini アプリ」、使えないのは「Gemini in Workspace」(DocsやGmailの横に出るサイドパネル)。この2つを区別できると、有料に上げるべきかどうかを自分の団体で判断できるようになります。
最終更新: 2026年8月1日
2026年7月時点の情報です。Google公式ヘルプセンターの記載にもとづきます。
1. 「無料版ではGeminiが使えない」の正体
無償版のGoogle Workspace for NonprofitsでGeminiを使おうとして、「使えない」と感じたことはないでしょうか。実はその感覚は半分だけ正しく、原因は同じ「Gemini」という名前の下に、範囲の違う2つの機能が存在していることにあります。
「団体によって差がある」わけでも「情報が古い」わけでもありません。
2. 無償版でも使えるもの(公式が挙げる10項目)
Google公式のヘルプセンター記事「Workspace for Nonprofitsの新しいAI機能」(2026年7月時点)は、無償版のWorkspace for Nonprofitsに含まれるAI関連機能を次の10項目として列挙しています。
- 「人物を含む画像生成」を搭載したGeminiアプリ
- 「音声解説」を搭載したGeminiアプリ
- 「Canvas」(文章や下書きを対話的に編集できる作業画面)や「テスト機能」を搭載したGeminiアプリ
- 「Deep Research」(複数の情報源を横断して調べ物をする機能)を搭載したGeminiアプリ
- 「Gem」(用途ごとに指示をあらかじめ作り置きできるカスタムAI)
- AI機能を搭載した「Google Vids」(動画作成ツール。制限付き)
- 「Gemini Live」を使った対話型コミュニケーション
- 「要約」「音声解説(50以上の言語対応、長さ調整可能)」「Q&A機能」を搭載したNotebookLM
- 「マインドマップ」を搭載したNotebookLM
- 「Discover Sources」(関連する情報源を自動で見つける機能)を搭載したNotebookLM
あわせて、無償版のGeminiアプリはエンタープライズ級(法人向け契約に準じる水準)のデータ保護つきで提供されるとされています。これらの機能追加は、2025年6月11日にGoogleが「Workspace for Nonprofitsに10以上の新しいAI機能を追加する」と発表した内容にもとづきます。
3. 無償版では使えないもの
同じ公式ヘルプセンター記事は、無償版では使えないものも明記しています。整理すると次の2つです。
- 上限が拡大され、カスタマイズや分析などの高度な機能を備えたNotebookLM(無償版では、2.に挙げた基本機能の範囲にとどまります)
- Gemini in Workspace(無償版では使用不可。有料エディション(契約プランの区分)のBusiness Standard以上へのアップグレードが必要です)
この「Gemini in Workspace」こそが、多くの読者が「Geminiが使えない」と感じる原因とみられます。
4. 「Geminiアプリ」と「Gemini in Workspace」の違い — 事務担当者向けの見分け方
誤解が起きやすいのは、この2つがどちらも「Gemini」と呼ばれるためです。事務担当者にとって一番わかりやすい見分け方は、「どの画面から使うか」です。
- Gemini アプリ: gemini.google.comや専用アプリを単独で開いて使うAIです。無償版のWorkspace for Nonprofitsアカウントでも使えるとされています(2.の10項目の中心)。
- Gemini in Workspace: Google Docs・スプレッドシート・スライド・Gmailなどを開いたときに、画面の横に表示される補助パネル(サイドパネル)や、文章作成中に出る「Help me write(作成を手伝って)」のような機能です。これは無償版では使えません(3章参照)。
つまり「Docsを開きながら右側のパネルでAIに手伝ってもらう」という使い方は無償版ではできませんが、「別タブでGeminiアプリを開いて相談し、結果をDocsに貼り付ける」という使い方は無償版でも可能、という整理になります。
5. NotebookLMはGemini Notebookに改称された(2026年7月16日)
発表元はGoogle Workspace Updatesです。別の新製品への切り替えではなく同じ製品の名称変更で、調査用のスタンドアロン製品(単独のサービスとして独立して使えるもの)として継続するとされています。既存のリンクや共有済みのノートはリダイレクト(自動転送)されるとされています。
なお2026年7月30日時点では、Google for Nonprofitsの案内ページの一部はまだ「NotebookLM」という表記のままです。改称の発表があった以上、別サービスを指しているわけではなく、案内側の表記更新が追いついていないとみられます。ちなみにNotebookLMは2025年2月5日付でWorkspaceのコアサービス(Workspaceの契約に標準で含まれる主要サービスの位置づけ)になっています。
6. 使えるが、Proの上限は思ったより早く来る
無償版でもGeminiアプリ自体は使えます。ただし実際に使ってみると、モデルの利用回数の上限に思ったより早く当たる、という声があります。
当サイトの運営メンバーが無償版のWorkspace for NonprofitsでGeminiを使ったところ、Pro系のモデルを数回使ったところで上限に達し、その後は高速モデル(Flash系)で作業を続けることになった、という実感がありました。これは運営メンバー1人・1団体の使い方にもとづく一事例です。
公式の非営利向け機能比較表(英語版)は、Pro系のアクセスについて「アクセス状況は変動し、1日あたりの上限は頻繁に変わることがある」と記載しています。また仕事用・学校用アカウント向けのGeminiヘルプは、上限に達するまでに実行できるプロンプトの回数は一定ではなく、プロンプトの長さや複雑さ、アップロードしたファイルのサイズや数、会話の長さなどの要素によって決まる、と説明しています。つまり「何回で上限になる」という固定の回数は、公式には存在しません。
同じヘルプは、思考モードまたはProモードの上限に達しても、同じチャット内で高速モードを使って会話を続けられるとも説明しています。なお上限が近づくとGeminiアプリ内に通知が表示され、上限に達すると通知の内容が変わっていつリセットされるかがわかるほか、設定の「使用量上限」画面でも確認できます。上限のリセット周期については、公式ページ内でも「1日あたり」「所定の時間枠」「5時間または1週間の使用量の上限」といった複数の表現が使われており、無償の非営利版に具体的にどの周期が適用されるかは公式に明示されていません。
- 通知を目安に、重要な作業から先にProで済ませておく
- 長いプロンプトや大きな添付ファイル・長い会話は消費が大きくなるとされているため、用途によって会話を分けてみる(これは公式の要因説明にもとづく推測です)
- 上限に達しても高速モデルで会話自体は継続できるため、作業が完全に止まるわけではない
なお、公式の非営利向け機能比較表に載っているモデル名は、更新が追いついておらず最新のラインナップと一致しないことがあります。Geminiのモデルは数か月単位で世代が変わるため、当サイトは特定時点のモデル名を断定的に掲載しません。自団体のアカウントで実際にどのモデルが選べるかは、Geminiアプリのモデル選択欄で確認してください。比較表のモデル名と実際の選択肢が違っていても、それは不具合ではなく表記の更新遅れであることが多いです。
7. 有料に上げるか決める前に、試す順番
「Gemini in Workspace」を使いたい場合、判断材料になりそうな軸は次の通りです。ただし当サイトの運営メンバーはこの範囲の実測をしていないため、費用対効果そのものは断定しません。
- まず、Geminiアプリ単体(無償版に含まれる範囲)で目的を満たせないかを確認する。Docs内の編集支援が必須でなければ、無償版のままで運用できる可能性があります。
- 有料エディションへの切り替えは席(ライセンス。契約している利用者アカウントの数)ごとに費用が発生します。「団体の全席をまとめて上げる」以外に、「AIを使う頻度が高い担当者の席だけ有料にする」という選択肢もあり得ます。どちらが合うかは団体の規模や用途次第です。
- Geminiの各モデルには利用回数の上限があります(詳細は6章)。公式は「1日あたりの上限は頻繁に変わることがある」旨を注記しており、当サイトも固定の回数としては案内しません。
なお公式の機能比較表(下記出典参照)は列数が多く、無償版の欄が空欄のように見えて読み取りにくい構成になっています。当サイトは今回、専用のヘルプセンター記事(16345471)の記載を優先して整理しました。Google Vidsなど一部の機能には古い期限の注記が残っていたり、段階的な提供(ロールアウト。機能を利用者に順次公開していく方式)の途中だったりするため、実際に自団体のアカウントで使えるかは管理コンソール(組織全体の設定を管理する画面)と各アプリで確認するのが確実です。
無償版で「Geminiが使えない」と感じたとき、疑うべきは団体の設定でも審査結果でもなく、開いている画面です。DocsやGmailの横のパネルを探していたなら、それは有料エディションの機能なので見つかりません。別タブでGeminiアプリを開けば、同じ用途の多くは無償版のままこなせます。この1点を職員に共有するだけで、「うちのアカウントは壊れているのでは」という問い合わせは減らせます。
AIツールの選び方全般はAI活用ガイド、Workspace自体の申請手順はGoogle Workspaceガイドで解説しています。Googleが非営利団体向けに用意しているAI研修や個別サポートについては 別記事「Googleの非営利向けAI研修と1:1サポート」 でまとめています。
8. 出典リンク
- Google公式ヘルプ: Workspace for Nonprofitsの新しいAI機能
- Google公式ヘルプ: Workspace for Nonprofitsの概要(データ保護に関する記載)
- Google公式ヘルプ: エディション別の機能比較表
- Google公式ヘルプ: 仕事用・学校用アカウントでのGeminiアプリ(利用回数の上限の考え方)
- Google公式ヘルプ: Geminiアプリのモデルと利用量の上限
- Google公式ブログ: Google.org発表(2025年6月、AI機能追加の経緯)
- Google Workspace Updates: NotebookLM改称の告知(2026年7月16日)
- Google Workspace Updates: NotebookLMがコアサービスに(2025年2月)
- 当サイト: AI活用ガイド
- 当サイト: Google Workspaceガイド
6章の利用上限に関する運営メンバーの実感は、運営メンバー1人・1団体による一事例です。それ以外の機能の実際の利用可否は自団体の管理コンソールで確認してください。掲載内容の誤りにお気づきの際は、お問い合わせからご指摘いただけると助かります。
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